【カタルーニャ問題】どうしてここまで独立にこだわる?5分でわかるスペインの歴史

現地時間2017年11月5日、カタルーニャ自治州の前首相プチデモン氏が亡命先のベルギーで身柄を拘束されました。え?カタルーニャって国があったの??このニュースでそう思われた方もいたのではないでしょうか。

カタルーニャわずか4時間59分の独立国家

今回のプチデムン前首相逮捕までの経緯です。

2017年10月27日午後3時27分

カタルーニャ州議会は一方的にスペインからの独立宣言を可決
「カタルーニャ共和国」が誕生

同日午後8時26分
スペイン中央政府は上院の承認を受け、カタルーニャ州の自治権を剥奪、直接統治に動く

2017年11月2日
反逆・治安妨害・背任罪などの容疑でカタルーニャの前閣僚8人が身柄を拘束される

2017年11月2日
出廷を拒否したプチデモン氏含む4人の全閣僚4人に対して逮捕状請求

2017年11月5日
逮捕状の発付を受け、スペイン司法当局はプチデモン氏らの亡命先ベルギーへ身柄拘束を求め国際指名手配

2017年11月5日
プチデモン氏ら5人がベルギー警察へ出頭、一時拘束されるも条件付きで釈放

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カタルーニャってどんなところ?

スペインには17の自治州と50の県、8つの民族が存在します。
カタルーニャはそのうちの一つの州です。

私の敬愛するガウディの作品が多く残るバルセロナがカタルーニャの州都。
バルセロナでは1992年にオリンピックも開催されました。

カタルーニャは、スペインの中でもGDP(国内総生産)がいちばん高い地域ということもあり、中央政府にとってはもっとも手放したくない地域です。
GDPが高い理由には、世界屈指の観光地を持つこと、海運の利便性から製造業も発展していることなどが挙げられます。

サッカーは現代の戦争〜スペインという国の成り立ち〜

もともとはヨーロッパに住んでいたゲルマン系の西ゴート族(キリスト教カトリック)がこの地を支配したものだそうです。

711年に、アフリカ大陸北部で勢力を伸ばしたイスラムのウマイア朝が侵攻し、西ゴート王国は718年に滅亡。半島のほぼ全域がイスラムの支配下に入り、以降「国のかたち」ができるまでには800年にもおよぶイスラムとの戦いがありました。

イスラム統治時代の名残はアンダルシア地方に色濃く見られ、世界遺産登録されているアルハンブラ宮殿やコルドバの街並など独特の様式美として今も残っています。

そしてレコンキスタ
イスラム統治下でも納税などの義務を守る代わりに信仰を許されていたキリスト教ですが復古を求め、立ち上がったのがレコンキスタ(再征服運動)
1492年、フランスからの援軍もあってキリスト教徒が勝利を納めます。

そこから少しさかのぼること1469年
この年にイザベル女王(カスティーリャ=現在のマドリード州)フェルナンド国王(アラゴン=現在のアラゴン州)の婚姻により半島中央部が統合されました。
これがスペインの原型となります。

もともとカスティーリャの属領地であった大西洋岸南部の地域は独立。現在のポルトガルを築いています。

その後、大西洋岸北部のガリシア、カタルーニャを併合していきますが、カスティーリャの人々からすれば、いまだに「ポルトガルは自国の一部、カタルーニャは外国」という意識なんだとか。

一方のカタルーニャからすると、スペイン継承戦争(18C) やフランコ独裁政権(20C)と度重なる迫害を受け、カスティーリャとは縁を切りたい。むしろ敵!のような感じなのでしょう。

これがレアル・マドリード(カスティーリャ)とFCバルセロナ(カタルーニャ)の因縁なので、それはサッカーの試合が盛り上がるわけです!

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カタルーニャだけじゃない民族独立意識

カタルーニャばかりが取り上げられますが、他の民族バスク人やバレンシア人も、そしてガリシア人も独立の意識は強いと言われています。

8つの民族、残りの3つはアラゴン、アストゥリアス、アンダルシアになりますね。

ピカソが描いた平和への訴え

ピカソ最大の傑作「ゲルニカ」
1937年スペイン内戦時代、フランコを支持したファシズム陣営のドイツによる無差別爆撃で被害を受けたゲルニカ(バスク地方)を題材にした壁画で、縦3.5m、横7.8mの大作です。

「牡牛」は、野蛮性やスペイン内戦に対して不干渉政策を取るフランスの隠喩
「馬」「兵士」は、ファシズムの犠牲となった兵士やスペインの民衆の姿
「子の屍を抱く女」は、ゲルニカの被害者
「駆け寄る女」は、遠方にありながら、即座にスペイン共和国政府を支援した唯一の国、ソ連の隠喩
「落ちる女」は、ピカソ自身あるいはイエス・キリスト
「光源」は神の眼。すべてを明るみに出す証人?あるいは現代のテクノロジーと爆撃の惨劇の関連を示唆などとも言われています。
「鳥」「精霊」は平和の象徴


このように様々な解釈をされることについて、ピカソ自身は後に
「これは動物、虐待された動物です。それ以上でもそれ以下でもない」と答えています。
それでも彼の絵の持つ反戦的な意味についてはくり返し言及しました。

 “These are animals, massacred animals. That’s all as far as I’m concerned…” But he did reiterate the painting’s obvious anti-war sentiment: “My whole life as an artist has been nothing more than a continuous struggle against reaction and the death of art. In the picture I am painting — which I shall call Guernica — I am expressing my horror of the military caste which is now plundering Spain into an ocean of misery and death.”   引用元:PBS Treasures of the World

まとめ

カタルーニャの独立へのこだわる理由については

1. 歴史的背景がある
2. 財政豊かで自州だけでやっていける、むしろ中央政府はお荷物と思っている

こんなところですかね。
こんなことを知っていると、サッカーの試合を観戦する際も旅行をする際にも見方が違ってくると思います。

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